没後150年記念 菊川英山
後期 12月1日(金)~20日(水)
知られざる美人画の名手
菊川英山(1787~1867)という浮世絵師の名を知っている人はどれほどいるでしょうか。巨匠、喜多川歌麿の亡き後、多くの絵師が歌麿風の作品を手がけるなか、可憐でたおやかな女性像を確立して新時代の美人画をリードしたのが菊川英山でした。その作品には上品な武家の姫君から、愛らしい町娘、ゴージャスな遊女まで、さまざまな女性たちが時に優雅に、時にポップにカラフルに描かれます。こうした英山の美人画は弟子の溪斎英泉のみならず、近年人気の歌川国貞や歌川国芳など、以後の絵師たちに大きな影響を与えました。幕末の美人画は、英山から始まったと言っても過言ではないでしょう。
今年、菊川英山の没後150年を迎えることを記念し、本展覧会では、初公開作品や代表作を含む版画・肉筆画の優品約200点を通して、菊川英山の画業に再び光をあてます。東京で開催される回顧展としては32年ぶりです。新しい時代のなかでしなやかに花開いた英山美人の輝きをご堪能ください。
江戸の新しい女性像
菊川英山が浮世絵界にデビューしたのは10代後半の頃。喜多川歌麿風のはつらつとした美人画を描き若くして人気絵師となります。歌麿没後、20代半ばとなった英山は新しい美人画を模索し始めます。そして行き着いたのが黒目がちの瞳に、六頭身でほっそりとした体つきの愛らしい女性像でした。浮世離れしたスラリとした長身の歌麿美人がスーパーモデルなら、可憐で小柄な英山美人は読者モデルのような親しみやすさも備えています。こうした新しい女性美が江戸市民に広く愛されたのです。
オシャレの手本は英山美人
茶屋の看板娘や母子、芸者や遊女など江戸の町を彩った女性たちが登場する英山作品。その魅力のひとつは女性たちがとてもオシャレだということ。当時、髪型や化粧、着こなしにいたるまで身分や年齢による制約があり、そのなかでいかに最新ファッションを楽しむかは、江戸女性の大きな関心事でした。人気役者が発信源の旬のモチーフやブームとなった笹色紅など、ルールのなかで最先端の流行を取り入れた英山美人は、現代のファッション雑誌さながらに女性たちの心を躍らせたことでしょう。
美人画空白の時代に光をあてる
浮世絵美人画を語る際、英山が活躍した文化年間(1804~18)という時代は、これまであまり注目されてきませんでした。しかし近年、門弟の溪斎英泉や歌川国芳、歌川国貞の展覧会が開催され、幕末に活躍した絵師たちの人気が高まりつつあります。本展では作品を時代順に展示することで、喜多川歌麿と幕末の絵師たちをつないだ英山の美人画の意義を見直します。
美麗な日本浮世絵博物館コレクション、初公開作品ほか、名品の数々
<見どころの一点>
「六玉内 伊手玉川」日本浮世絵博物館蔵(前期)
日本浮世絵博物館が所蔵する本図は、保存状態が良く退色しやすい淡い青色がよく残った逸品です。床几に座り物思いにふける様子の水茶屋の女性。当時、寺社など多くの人でにぎわう場所に設けられた水茶屋では、見目麗しい女性たちが働くことが多くありました。青紫の縞柄の着物に花模様の前掛、グレーの雲文の帯という装いは一見ひかえめですが、前掛の紐などの朱色が差し色としてとても効いています。また、楚々とした美しさに加えて、柔らかな指先やはだけた胸元からは匂い立つような色香が漂います。本図は、理想とされた女性像をひとつに凝縮した一点といえるでしょう。
展覧会カタログ
本展カタログ「没後150年記念 菊川英山」を2,500円(税込)にて販売します。入館料
リピーター割引 本展の会期中2回目以降ご鑑賞の方は、半券のご提示にて200円割引いたします。
※チケット購入時に半券をご提示下さい。他の割引との併用はできません。
一般 | 1000円 |
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大高生 ※学生証をご提示ください。 | 700円 |
中学生以下 ※中学生は学生証(生徒手帳)をご提示ください。 | 無料 |
開館日カレンダー
休館日
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2017年11月特別展
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