月岡芳年 妖怪百物語
はじめに
月岡芳年(1839~92)は幕末から明治にかけての浮世絵師です。歌川国芳の門下であり、明治時代には最も人気のある浮世絵師の一人として第一線で活躍し続けました。芳年は武者絵、歴史画、美人画など幅広いジャンルの作品を手がけましたが、生涯に渡って力を注いだテーマとして、歴史や伝説、小説、芝居などの怪奇的な物語に取材した妖怪画があります。芳年自身にも、たびたび幽霊を見たという逸話が残り、また怖い話が上手で百物語を語ることもあったと伝わります。芳年が手がけた数多くの作品の中でも、画業の初期に描いた26図からなる揃物「和漢百物語」と、最晩年に手がけた36図からなる揃物「新形三十六怪撰」という二つの作品は、ともに多数の妖怪たちが登場する怪奇画集の傑作として知られています。本展では、「和漢百物語」と「新形三十六怪撰」をそれぞれ全点公開するとともに、初期から晩年までの作品をあわせて約100点を出品し、芳年が描く妖怪画の世界を紹介いたします。9月1日より始まる特別展「月岡芳年 月百姿」と合わせ、2ヵ月続きで月岡芳年の魅力をお楽しみください。
月岡芳年が描く妖怪画約100点を大公開!
月岡芳年は画業の初期から怪奇的な画題を好み、妖怪たちを描き続けました。師匠の歌川国芳が妖怪画を得意としていたことから、その影響がまず考えられるでしょう。一方で芳年自身も妖怪を身近に感じていた人物のようで、たびたび幽霊を見たという話が伝えられており、また怖い話が上手く、養女に百物語を語って聞かせたという逸話も残っています。恐ろしく、また時にユーモラスな、芳年が描く魅力あふれる妖怪たちを紹介いたします。
初期の妖怪画シリーズ「和漢百物語」を全点公開
「和漢百物語」は慶応元年(1865)、芳年が数え27歳の時に出版されました。芳年による妖怪を題材とした最初の揃物で、全26図からなります。題名の「百物語」とは、数人で集まって怪談を語る会のことで、転じて怪談を集めた書物のタイトルにも用いられるようになりました。本作は和漢、すなわち日本と中国の怪談に幅広く取材しており、新進の浮世絵師であった若き日の芳年による、力の入った妖怪画集です。
「新形三十六怪撰」は明治22~25年(1889~92)にかけて出版された、妖怪を題材とした揃物。全36図からなります。出版開始時に芳年は数え51歳であり、幾つかの図は、明治25年に芳年が没した後に刊行されました。まさに最晩年の作ですが、芳年が長年手がけてきた妖怪画の集大成とも言える傑作です。なお題名の「新形」には当時流行の言葉であった「神経」、あるいは「真景」といった言葉がかかっていると考えられています。
<見どころの一点>
「新形三十六怪撰 源頼光土蜘蛛ヲ切ル図」(太田記念美術館蔵)
源頼光の土蜘蛛退治を題材にした一図。『平家物語』『太平記』の「剣の巻」に伝わるエピソードです。平安時代の武士である源頼光が病に侵され、長い間床に伏せていたある夜、一人の僧がどこからともなく現れ、縄で頼光を絡め取ろうとしました。驚いた頼光はとっさに枕元に置いてあった名刀、膝丸で切りつけます。別の部屋で宿直をしていた頼光配下の四天王たちも駆けつけ、血の後を追っていくと巨大な土蜘蛛に遭遇し、見事これを退治したという話。頼光の名刀「膝丸」は、以降「蜘蛛切」と呼ばれるようになりました。本図では、芳年は僧侶の姿をした土蜘蛛が半透明の巣網で頼光を絡め取ろうとし、頼光が膝丸を抜こうとする瞬間を迫力たっぷりに描いています。土蜘蛛のぎょろりとした黄色い目玉の描写が印象的です。
展覧会カタログ
本展カタログ「月岡芳年 妖怪百物語」を2,484円(税込)にて販売します。芳年を巡る 入館料相互割引プラン
本展チケットを横浜市歴史博物館の下記展覧会でご提示いただくと、団体料金でご覧いただけます。また、下記展覧会のチケットを当館でご提示いただくと、「月岡芳年 妖怪百物語」および「月岡芳年 月百姿」展を100円割引でご覧いただけます。
※1枚につき1名様、1回限り有効、他の割引との併用はできません。
横浜市歴史博物館
丹波コレクションの世界Ⅱ 歴史×妖×芳年
2017年7月29日(土)~8月27日(日)
入館料
リピーター割引 「月岡芳年 妖怪百物語」および「月岡芳年 月百姿」両展覧会の会期中2回目以降ご鑑賞の方は、半券のご提示にて200円割引いたします。
※チケット購入時に半券をご提示下さい。他の割引との併用はできません。
一般 | 1000円 |
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大高生 ※学生証をご提示ください。 | 700円 |
中学生以下 ※中学生は学生証(生徒手帳)をご提示ください。 | 無料 |
開館日カレンダー
休館日
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2017年8月特別展
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