浮世絵動物園
はじめに
鶴や亀などのおめでたい動物、あるいは飼い主のそばでまどろむ猫。浮世絵には、こうした現在の私たちにもなじみ深い動物の姿が多く描かれています。本展では、動物を描いた作品に焦点をあて、小さなお子さまも楽しめるよう、わかりやすくご紹介いたします。身近な動物だけでなく、龍や河童や化け狐など実際には存在しない空想上の生きものから、図鑑の挿絵のように精密に描写したもの、さらには擬人化した遊び心あふれるものまで、浮世絵からは、実に多様な動物たちの姿を見ることができるのです。本展を通して、江戸時代の人々と動物たちとの楽しい関係に触れていただければ幸いです。
1.江戸っ子はペットが大好き!
「ペットブーム」という言葉を聞きますが、実は江戸時代の人々も様々な動物をペットとしていました。今と同様、一番人気だったのは犬と猫。ほかにも金魚やネズミやウサギ、イタチまでがペットとして飼われていました。また、鷹狩りに使う鷹や乗馬用の馬の所有は、権力者のステータスシンボルでもありました。浮世絵に登場する犬や猫たちが飼い主のそばでなごむ様子からは、彼らが家族の一員として大事にされていたことが伝わってきます。2.おめでたい動物・干支の動物
「鶴は千年、亀は万年」と言われる鶴や亀など、おめでたい動物は浮世絵においても大事な題材でした。また年賀状でおなじみの干支の動物たちは、当時は日々の暦や時刻、方位を表す際に用いられた、現代よりも人々の生活に深く結びついた存在でした。そのため干支の動物たちもさまざまに表現されています。3.不思議な生き物 -珍獣から河童までー
江戸時代には、象やラクダ、ヒクイドリなど当時としては珍しい動物が海外からもたらされ、見世物としても人気を呼びました。人々に大きなインパクトを与えたこうした動物たちを浮世絵師たちは描きとめています。さらに絵師たちは、龍や鳳凰などの聖獣、化け狐や河童や大蛇など説話や怪談に出てくる空想上の生きものたちを、ときに恐ろしく、ときにユーモラスに描き出しました。4.擬人化された動物たち
人間のようにものを考え行動する、擬人化された動物が主人公の映画やアニメは、現代でも大人気です。驚くことにすでに浮世絵のなかには、まるで人間のように振る舞う動物を描くものが数多くあります。今もなお見る者の笑いを誘うこれらの作品は、江戸時代の人々の発想の豊かさ、そして動物に対する親しみを私たちに伝えてくれます。<見どころの一点>
歌川広重 東都飛鳥山の図 王子道 狐のよめ入
入館料
一般 | 700円 |
---|---|
大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |