春信・清長・歌麿とその時代

喜多川歌麿「風俗美人時計 子ノ刻 妾」
企画展
2012年4月1日(日)~4月26日(木)

4月2・9・16・23日は休館となります。

※4月展示の図録は作成いたしません。

展覧会の概要

浮世絵が江戸の庶民たちを魅了しはじめ、不動の人気を築いた18世紀後半、その流行を牽引していたのが、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿という三人の絵師たちでした。彼らは町中で話題となった美しい女性たちや、庶民たちの暮らしの何気ない一場面を、愛情ある眼差しで描きとめています。
本展覧会では、春信、清長、歌麿という巨匠たちの作品を展示するとともに、礒田湖龍斎や勝川春章、鳥文斎栄之といった、同時代に活躍したライバルたちの作品もあわせて紹介いたします。「浮世絵らしい浮世絵」と呼ぶのにふさわしい、江戸情緒あふれる雅やかな作品の数々をご鑑賞ください。

1.鈴木春信 フルカラーの衝撃

浮世絵と言えば、明るい色に溢れた色鮮やかな版画を思い浮かべる人も多いでしょうが、浮世絵版画がたくさんの色数で摺られるようになるまでにはかなりの時間を要しています。このような多色摺の浮世絵版画のことを「錦絵(にしきえ)」と呼んでいますが、錦絵が誕生するのに大きな役割を果たしたのが、鈴木春信でした。今まで2、3色しか用いられなかった浮世絵版画が、春信の手を経ることによって錦の織物のように色鮮やかな世界へと移り変わったのです。
鈴木春信「林間煖酒焼紅葉」

鈴木春信「林間煖酒焼紅葉」

鈴木春信「風流うたひ八景 紅葉狩夕照」

鈴木春信「風流うたひ八景 紅葉狩夕照」

2.鳥居清長 さわやかな江戸の美女たち

鈴木春信の没後、新たな女性像を描くことによって人気を博したのが鳥居清長でした。春信の描く子どものような可愛らしい姿をがらりと一変させ、まるで外国人モデルのような、背の高いすらりとしたプロポーションの美人たちを浮世絵の世界に登場させたのです。さわやかで健康的な女性たちの姿は、活気にあふれ、経済的にも文化的にも成熟していこうとする江戸の町の空気を反映したものでした。
鳥居清長「色競艶婦姿」

鳥居清長「色競艶婦姿」

鳥居清長「当世遊里美人合  叉江」

鳥居清長「当世遊里美人合 叉江」

3.喜多川歌麿 浮世絵史上No.1の美人画絵師

鳥居清長に替わり、時代の寵児となったのが喜多川歌麿です。歌麿と言えば、何と言っても美人画。ちょっとした顔の傾きや手の動きという何気ない仕草で、女性の美しさを捉えてしまう表現力は、歴代の浮世絵師の中でもナンバー1の実力でしょう。特に、女性の上半身を大きくアップで描いた「大首絵」では、女性の内面の感情までも見事に描き出しています。
喜多川歌麿「扇屋内瀧川 男なみ女なみ」

喜多川歌麿「扇屋内瀧川 男なみ女なみ」

喜多川歌麿「風俗美人時計 子ノ刻 妾」

喜多川歌麿「風俗美人時計 子ノ刻 妾」

<見どころの一点>
喜多川歌麿「五人美人愛敬競 松葉屋喜瀬川」

喜多川歌麿「五人美人愛敬競 松葉屋喜瀬川」
喜多川歌麿「五人美人愛敬競 松葉屋喜瀬川」拡大図
当時の江戸の町で評判だった美女たちの表情を大きくアップで捉えた大首絵です。朝顔の絵の団扇を持った遊女の喜瀬川は、顎に手をあててちょっと物想いにふけっているような表情です。本図の特徴は、女性の名前が明記されておらず、判じ絵という絵解きのクイズになっているところ。画面右上にある絵が、松葉(まつば)、矢(や)、キセルの上3分の2(きせ)、川(かわ)となっており、「松葉屋喜瀬川」と読むことができます。
入館料
一般700円
大高生500円
中学生以下無料
イベント
学芸員によるスライドトーク

本展の担当学芸員が見どころをご案内します。

日程第1回4月1日(日)/第2回4月13日(金)
時間各14:00~(30分程度)
場所太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法申込不要 参加無料(要入場券)
4 月1日の日曜映写会は、11時の回のみ実施。
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