没後160年記念 歌川国芳

2021年9月4日(土)~10月24日(日)

  • PART Ⅰ 憂き世を笑いに!―戯画と世相
    9月4日(土)~9月26日(日)
  • PART Ⅱ 江戸っ子を驚かす!―武者と風景
    10月1日(金)~10月24日(日)

※ⅠとⅡで全点展示替え

9月6、13、21、27-30、10月4、11、18日は休館します。

「没後160年記念 歌川国芳」チラシ
「没後160年記念 歌川国芳」作品リスト

歌川国芳(1797~1861)は江戸時代後期に活躍した浮世絵師です。国芳は10代後半で浮世絵師としてデビューし、売れない不遇の時期を過ごしたあと、30代前半に描いた「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」シリーズで大ブレーク。以降は勇壮な武将を描いた武者絵や、コミカルな笑いを描いた戯画、独自の魅力にあふれた風景画、美人画、役者絵、子供絵など、ありとあらゆるジャンルを精力的に手掛け、多くの弟子も育てて浮世絵界を牽引しました。
2021年は歌川国芳の没後160年にあたります。この記念の年に、本展では国芳の生涯と作品を改めて紹介し、その魅力に迫ります。

歌川国芳「猫の当字 かつを」個人蔵(PARTⅠ)
歌川国芳「流行猫の曲手まり」個人蔵(PARTⅠ)

1.逆境をポジティブに乗り越える!

歌川国芳は、天保の改革の影響下における不安定な世情の中で、精力的に作品を描き続けたことで知られています。改革では、幕府によって庶民のさまざまな娯楽に厳しい統制が加えられ、浮世絵でも役者や遊女といった人気ジャンルを描くことが規制されました。そんな中、国芳が活路を見出したジャンルのひとつが戯画。擬人化された動物たちを描くなど、底抜けに明るくてユーモアたっぷりの戯画は庶民の間で大人気となります。中には当時の幕政を暗に風刺しているとして絶版になる作品もあり、奉行所の取り調べを受けることもありましたが、国芳はまったくへこたれず、創意工夫をこらした新たな作品を次々に生み出していったのです。
昨今ではコロナ禍により人々の楽しみが制限され、閉塞感のある状況が続いていますが、このような時代にこそ、国芳の底抜けに明るい作品やポジティブに生きる姿勢が、現代の私たちにも強く訴えかけてくるのではないでしょうか。

歌川国芳「里すゞめねぐらの仮宿」(PARTⅠ)
歌川国芳「源頼光公館土蜘作妖怪図」(PARTⅠ)

2. 巨大モチーフで度肝を抜かす!

歌川国芳は「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」シリーズの大ヒットで一躍人気絵師の仲間入りを果たします。武者絵の第一人者となった国芳ですが、それに満足することなく、常に新しい構図やテーマに挑むことを怠りませんでした。中でも国芳の武者絵を語る上で欠かせないのは、骸骨や鰐鮫など、大判3枚続きの大画面いっぱいに巨大なモチーフを描いた大迫力の作品群でしょう。50代にさしかかる頃から盛んに取り組んだ国芳の新境地に、江戸の人々は度肝を抜かれたに違いありません。

歌川国芳「相馬の古内裏」個人蔵(PARTⅡ)
歌川国芳「讃岐院眷属をして為朝をすくふ図」個人蔵(PARTⅡ)
歌川国芳「通俗水滸伝豪傑百八人之壹人 浪裡白跳張順」(PARTⅠ)
歌川国芳「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」 (PARTⅡ)

3.タブーに挑む!

歌川国芳は、浮世絵でタブーとなっている題材にも果敢に挑戦しました。その一例が絶版になったことで知られる『絵本太閤記』(武内確斎作・岡田玉山画)の世界を描いた作品です。豊臣秀吉や織田信長らが活躍した時代を題材にすることは幕府によって規制され、出版がはばかられていましたが、たとえば武将の名前を一部もじったり、あるいは織田信長の名を源義経などに置きかえ、源平合戦に仮託することで本能寺の変を描いたりしました。国芳はあの手この手でカムフラージュをして禁忌を出版しようと試みたのです。

歌川国芳「堀川夜討ノ図」(PARTⅡ)

4.没後160年の記念の年に国芳の名品が大集合!

国芳の魅力は、戯画や武者絵だけにとどまりません。洋風表現を取り入れた独特の風景画や、生き生きとしたさわやかな美人画など、さまざまな分野で魅力あふれる作品を残しています。国芳の没後160年を記念する本展覧会では、国芳の多岐にわたるジャンルの作品全160点を出陳。また国芳をより深く知っていただくために、展示を二期に分け、9月4日(土)~9月26日(日)は「PART I 憂き世を笑いに!―戯画と世相」、10月1日(金)~10月24日(日)は「PART II 江戸っ子を驚かす!―武者と風景」と題して全点を入れ替え、その魅力を掘り下げます。

歌川国芳「東都名所 かすみが関」(PARTⅡ)
歌川国芳「近江の国の勇婦於兼」(PARTⅡ)
歌川国芳「山海愛度図会 えりをぬきたい」(PARTⅡ)

月岡芳年「歌川国芳肖像」 (PARTⅠ)

見どころの作品

歌川国芳「道外とうもろこし 石橋の所作事」個人蔵(PARTⅠ)

毛を振り乱しておどっているのは、とうもろこしです。実はとうもろこしが扮しているのは、歌舞伎の「石橋(しゃっきょう)物」という踊りに登場する獅子の精。テレビなどで赤と白の長い髪を振り乱して踊る歌舞伎役者を目にしたことがあるかも知れませんが、あれと同じ系統の踊りをとうもろこしが踊っているという趣向です。
後ろにみえるのは長唄の太夫と笛で、どちらも擬人化された野菜となっています。左の太夫は唐茄子、右の笛はさつまいもでしょうか。野菜が歌舞伎を演じるというアイデアが斬新で、まさに国芳のユーモアを凝縮したような逸品といえるでしょう。
なお当時の江戸では蓮のような花をつけたとうもろこしや、鶏のような形のとうもろこしが生えたニュースが話題となっており、本図はそれをヒントに国芳が戯画に仕立てたものと考えられています。

参考図:胡蝶園春升「品川にてとうもろこし鶏に化したる図」個人蔵
※本展には出品されません

オンライン展覧会のご案内

本展の作品と解説をオンラインでもお楽しみいただけます。
詳しくは以下のリンクをご覧ください。


入館料
一般1000円
大高生700円
中学生以下無料

*中学生以上の学生は学生証をご提示下さい。
団体(10名以上)は1名さまあたり100円引き。(一括にてお支払い願います。事前のお申し込みにご協力ください。)新型コロナウイルス感染症の感染予防と拡大防止のため、当面の間は10名以上の団体でのご来館はご遠慮ください。
*障害者手帳提示でご本人とお付き添い1名さま100円引き。
*その他各種割引についてはお問い合わせください。
*料金は消費税込み。

*リピーター割引のご案内*
会期中2回目以降ご鑑賞の方は半券のご提示にて200円割引いたします(他の割引との併用不可)

*相互割引のご案内*
日本美術めぐり 山種美術館⇔太田記念美術館 2館相互割引

山種美術館「速水御舟と吉田善彦 ―師弟による超絶技巧の競演―」展と太田記念美術館「没後160年記念 歌川国芳」展では、それぞれの会期中入館料の相互割引をいたします。幕末の江戸で世相を反映した大胆な浮世絵を数々描き、多くの弟子を育てた歌川国芳。明治から大正・昭和と新しい日本画の表現を生み出した速水御舟とその弟子吉田善彦。渋谷界隈のふたつの展覧会を巡ることで、アートの秋をご堪能ください!

◆本展チケット半券のご提示により会期中割引料金でご覧いただけます。※山種美術館のオンラインチケットを購入された方は対象外
〈速水御舟と吉田善彦 ―師弟による超絶技巧の競演―〉
会期 2021年9月9日(木)~11月7日(日)
山種美術館(東京都渋谷区広尾3-12-36)

◆山種美術館「速水御舟と吉田善彦」展チケット半券または電子チケット画面のご提示により本展を会期中割引料金でご覧いただけます。
会期 2021年9月4日(土)~10月24日(日)

◆いずれも対象券1枚につき1名様有効。
◆入館チケットご購入時に受付にご提示ください。購入後の割引はできません。
◆他の割引との併用はできません。

開館日カレンダー

休館日

2021 09

休館日

1-3, 6, 13, 21, 27-30

2021 / 09

1-3, 6, 13, 21, 27-30

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
2021 10

休館日

4, 11, 18, 25-28

2021 / 10

4, 11, 18, 25-28

SUN MON TUE WED THU FRI SAT

文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業

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