芳年 -「風俗三十二相」と「月百姿」-
企画展
2009年5月1日(金)~6月26日(金)
前期:2009年5月1日(金)~5月26日(火)
後期:2009年6月2日(火)~6月26日(金)
前期・後期で展示替えあり。
5月7・11・18・25・27~31日/6月1・8・15・22日は休館となります。
月岡芳年(つきおか・よしとし、大蘇芳年とも、1839~92)は、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師です。鎖国の世から突然の文明開化を求められた動乱の時代の中、激しい個性に満ち溢れた作品を次々と生み出し、しばしば「最後の浮世絵師」とも称されています。武者絵や戯画で知られる歌川国芳の下で浮世絵を学んだ芳年は、武者絵や歴史画、美人画などさまざまなジャンルで活躍しました。当時の人気は随一で、名実ともに明治時代を代表する浮世絵師と言うことができます。迫力ある構図が特徴で、血みどろ絵と呼ばれる残酷な表現や女性の妖艶さを捉えた美人画などの魅力は、時代を越えて現代の私たちをも惹き付けて止みません。本展覧会では、芳年の晩年の代表作であり、また今でも非常に人気の高い傑作、「風俗三十二相」と「月百姿」のシリーズを、前期後期に分けて全点紹介いたします。明治の巨星・芳年が最後に辿りついた境地は、浮世絵ファンならずとも十分にお楽しみいただけることでしょう。
飛んでいる蛍を見事に捕まえて嬉しそうにはしゃぐ芸者
「風俗三十二相 うれしさう」
『西遊記』でおなじみの孫悟空
「月百姿 孫悟空」
1.「風俗三十二相」~官能性溢れる美人画
さまざまな身分や職業の女性たちを描いた、全32枚からなる美人画です。嬉しそう、寒そう、痛そう、などといった、女性たちの心の内の感情を意欲的に表現しようとしています。官能性を帯びたその表情や仕草は、現代の私たちでも一見して共感できる魅力を放っています。明治21年(1888)の作。
蚊を追い払う蚊遣りの煙にむせる女性。
「風俗三十二相 けむさう」
西洋風のファッションに身を包んで散歩に出かけようとする女性
「風俗三十二相 遊歩がしたさう」
恋人の名前を刺青する遊女。
「風俗三十二相 いたさう」
炬燵に入りながら読書をする後家の町人。猫もこたつの上で暖かそう。
「風俗三十二相 あったかさう」
枕もとの行灯に火をつける女性。
「風俗三十二相 暗さう」
歯を磨きながら朝顔を眺める、寝ぼけ眼の娘。
「風俗三十二相 めがさめさう」
2.「月百姿」~幻想的な歴史画
月にちなんだ物語や説話を題材とした、全100枚からなる歴史画です。平安時代や戦国時代の武将たちや絶世の美女、幽霊や妖怪、滑稽な戯画など、同じ月でもそのジャンルは驚くほど広範囲に渡ります。芳年ならではの視点から切り取った迫力ある構図の作品がある一方、月夜の静けさがしみわたるような静謐さ漂う作品もあり、見る人を飽きさせないでしょう。明治18~24年(1885~91)の作。
天狗の化け物を全く恐れずに会話をしている豪胆な伊賀局
「月百姿 吉野山夜半月」
猿と兎の相撲を応援する金太郎。
「月百姿 金時山の月」
明智光秀とともに本能寺の変を決行した斎藤利三。
「月百姿 月下の斥候 斉藤 利三」
義経と弁慶の乗る船に大波となった平家の亡霊たちが襲い掛かる。
「月百姿 大物海上月」
身分違いのかなわぬ恋に絶望し、湖に身を投げようとする有子内侍。
「月百姿 有子」
満月の下、盆踊りを楽しむ江戸時代の民衆たち。
「月百姿 盆の月」
入館料
イベント
5月、6月の土曜講座・日曜映写会は開催予定です。
開館日カレンダー