怖い浮世絵
美術館でキモだめし。
「怖い」「恐ろしい」-すなわち恐怖は人間の普遍的な感情のひとつです。未知なるもの、危険なもの、不気味なものなどに対して、人間は恐怖を抱き、忌み嫌い、避けようとします。しかし「怖いもの見たさ」という言葉が表すように、それらは多くの場合、同時に強烈な好奇心を呼び起こすものでもあるのです。小説やドラマ、映画などで、ホラーやサスペンスといったジャンルが根強い人気を博すのも、この怖いもの見たさに起因するのでしょう。
江戸の人々も、怖いもの、恐ろしいものへの好奇心は旺盛だったようで、歌舞伎や小説などで怪談物が流行したのをはじめ、浮世絵にも怪異や妖怪が盛んに描かれています。本展は、江戸の人々が抱いた恐怖のイメージを浮世絵から探る展覧会です。累(かさね)、お岩、崇徳院といった生前の恨みをはらす幽霊たち、鬼、海坊主、土蜘蛛などの異形の化け物、凄惨な血みどろ絵まで、「怖い」浮世絵が一堂に集まります。
Ⅰ 幽霊
幽霊とは、現世に恨みや思いを残し、死後さまよっている霊魂のこと。江戸時代後期には、幽霊が歌舞伎に登場する話が流行し、それに伴って浮世絵にも幽霊が多く描かれています。累(かさね)やお岩、お菊、浅倉当吾、崇徳院など、凄まじい怨念をもって現世に現れる恐ろしい幽霊の姿を紹介いたします。
Ⅱ 化け物
Ⅲ 血みどろ絵
<見どころの一点>
歌川国芳「四代目市川小団次の於岩ぼうこん」(太田記念美術館蔵)
虫籠と団扇を手にして踊る美しい娘、お岩が描かれています。背景で暗闇に舞うのは蛍。よく見るとお岩の背後には、同じポーズで踊る、朽ち果てた姿のお岩が重なって見えています。髪は抜け落ち、骨も露わになった亡魂の描写が恐ろしい一図です。有名な『東海道四谷怪談』の系統の舞台を描いたもので、嘉永元年(一八四八)九月市村座で上演された歌舞伎『当三升四谷聞書(まねてみますよつやのききがき)』に取材しています。当図は物語の終盤、夢の場を描いたもの。数々の悪事を犯した主人公、伊右衛門の夢に美しい娘の姿でお岩が現れますが、やがて亡霊としての正体を現すという、幻想的かつ恐ろしい場面です。幕末の名優、四代目市川小団次がお岩を演じました。なお本図は二枚続のうち一図で、左に八代目市川団十郎の神谷仁右衛門と初代中村翫太郎の秋山長兵衛の図が続きます。
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 8月4日(木)・12日(金)・23日(火) |
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時間 | 11:00~ / 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
開館日カレンダー
休館日
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