江戸っ子味めぐり
はじめに
いまや世界中で愛されるようになった和食。食材や調味料が充実し、現在の和食に通じる食文化が花開いたのが江戸時代でした。将軍のお膝元であった江戸には近郊の農村や漁村から豊富な食材が集まりました。江戸時代中期以降には、料理の技術も発展し、江戸の人々に好まれる味付けも定着していきます。
江戸っ子は初ものに喜び、花見などの行楽にはお弁当を持って出かけました。現在も人気の料理である蕎麦や天ぷらは、屋台で手軽に食べることができる、いわばファーストフードの一つとして、単身の男性が多く暮らす江戸では大いに親しまれていました。一方、高級料亭も江戸市中には多く存在し、書画会の会場となるなど、文化サロンとしての役割を果たすこともありました。
また、食べ物や料亭をランキングした番付も数多く制作されており、これらからは、当時の人々が美味しいものを食べるだけでなく、食事をする空間をも貪欲に楽しんでいたことを知ることができます。食材や料理法だけでなく、江戸時代には現代へと通じる食文化の様々な側面が育まれていたのです。
庶民風俗を描く浮世絵のなかには、当時の食生活の一端を垣間見せてくれる作品が数多くあります。本展では、料理にまつわる浮世絵を紹介いたします。江戸っ子が楽しんだ食文化に触れていただければ幸いです。
1.季節を味わう
お正月のお屠蘇から、花見で食べる行楽弁当、月見団子に年末の餅つきまで。江戸時代にも一年を通して様々なイベントがありました。浮世絵からは、江戸っ子が折々の行事ならではの食事を味わっていたことが分かります。
2.お食事処あれこれ ―屋台から高級料亭まで―
現代人はファーストフードから高級レストランまで、多様なスタイルで料理を楽しんでいます。同じように江戸時代後期には、屋台をはじめ高級料亭にいたる幅広い様式のお食事処が江戸の市中のあちこちに存在していました。ここでは江戸っ子の食事スタイルを覗いてみましょう。
3.多彩なメニューに舌鼓
野菜、魚介、果物にお菓子。江戸の庶民が口にした料理は実に多様です。江戸時代後半には、それまで禁忌とされた獣肉も食されるようになりました。さらには旅行が徐々に身近になると、旅人にとって各地の名物、いわゆる「ご当地グルメ」も旅の楽しみのひとつとなっていったのです。<見どころの一点>
歌川国貞(三代歌川豊国)「十二月の内 卯月 初時鳥」
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 3月3日(日)・8日(金)・17日(日) |
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時間 | 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |