浮世絵猫百景 -国芳一門ネコづくし
後期:2012年6月30日(土)~7月26日(木)
※前後期で展示替え
6月4・11・18・25・27~29日/7月2・9・17・23日は休館となります。
※ 6.7月展示の図録「浮世絵猫百景ー国芳一門ネコづくしー」は完売致しました。
浮世絵猫百景 -国芳一門ネコづくし展作品リスト [537KB]
はじめに
古今東西を問わず、私たち人間の最も身近な動物である猫。江戸時代の人々も猫をペットとして可愛がっていました。近年、猫の可愛らしい姿を捉えた写真集や動画が人気ですが、それは江戸時代にも同じだったようです。江戸庶民の生活を活写した浮世絵のなかには、飼い主のそばでまどろむ猫、じゃれつく猫の姿を多く見つけることができます。しかし浮世絵に描かれる猫は、愛らしいだけではありません。説話に登場する恐ろしい化け猫や、人間のようにふるまうユーモアあふれる擬人化された猫たちも大活躍。そのバラエティー豊かな作品群からは、猫がいかに江戸の人々の生活に溶け込み、そして愛されていたのかが伝わってきます。
近年注目を集める歌川国芳は、そんな猫愛でる江戸っ子の代表格の一人です。家には常に十数匹の猫を飼っていたと伝えられる国芳が描く猫たちは、いきいきとして愛嬌たっぷり。今回の展示では国芳とその弟子たちの作品をはじめとする浮世絵243点が大集合します。登場する猫はなんと2321匹。人と猫が織りなす豊かな世界は、浮世絵ファンならずとも十分にお楽しみいただけることでしょう。
1.江戸猫2321匹大集合 ―江戸時代は猫ブーム?!
くるくると変わる豊かな表情、きままに動きまわる様子が猫の魅力。そんな猫の魅力に触発された浮世絵師たちのイマジネーションは、ユニークな作品を次々と生み出しました。浮世絵に登場する動物で最も多いのは猫である、と言っても過言ではないでしょう。例えば国芳は、擬人化された猫が画面せましと活躍する作品をはじめ、何匹もの猫が集まって文字を作るという奇抜なアイディアも披露しています。はては伊達男や美人の着物に猫の柄を用いたものまで手がけました。浮世絵師たちの猫に対するその発想の豊かさには、今見ても驚かされるものがあります。
2.国芳一門が勢ぞろい
豊富なアイディアを駆使し猫の絵を描いた国芳。その国芳の情熱は、弟子たちにも脈々と受け継がれました。血みどろ絵で知られる月岡芳年は可愛らしい飼い猫を、子ども向けの版画である「おもちゃ絵」を得意とした芳藤は、猫が人間のように振る舞う作品群を世に送り出しました。ほかにも本展では芳幾、芳虎、芳玉、芳員、芳艶など国芳一門の絵師による作品が勢ぞろいします。絵師たちの猫の姿を見比べてみるのも楽しいかもしれません。3.国芳の珍しい作品を紹介
現在では1点しか確認されていない「流行猫じゃらし」、今回が初めての展観となる団扇絵など、国芳の珍しい作品もご紹介いたします。4.江戸っ子をなごませた猫の玩具
幕末から明治半ばにかけて作られた、子供向けの版画「おもちゃ絵」。おもちゃ絵には人間のように暮らす猫をはじめ、数えきれないほどの猫たちが登場しています。また、庶民の生活を彩った土人形や、当時のボードゲームである十六むさしのなかでも、駒が猫と鼠となっている一点をご紹介いたします。5.時代を反映する猫の姿
庶民の生活とともにあった猫。猫を描いた浮世絵は、時には時代背景をも映し出しました。絵師たちは、幕末の動乱や、西洋文化の流入によって変化した生活様式などを猫の姿を借りて表現しました。展覧会構成
- 第一景 猫百変化
- 第二景 猫の一日~遊んで眠ってしかられて~
- 第三景 猫のお化け
- 第四景 猫は千両役者
- 第五景 猫の仕事・猫の遊び
- 第六景 猫の事件簿
- 第七景 猫のまち
- 第八景 猫の絵本
<見どころの一点>
歌川芳藤「小猫を集め大猫にする」(前後期展示)
振り返るような仕草をする三毛猫。実は、この猫は19匹もの猫たちが集まってできたものなのです。目を凝らすと猫たちが色々なポーズをとって重なり合っているのがわかります。この絵の作者である歌川芳藤は国芳の弟子の一人。物を寄せ集めて別の物を作り上げる手法を「寄せ絵」と称しますが、国芳は寄せ絵にも遊び心あふれる名作を残しています。本作から芳藤は、国芳のユーモアのセンスを多分に受け継いだ絵師であることがよくわかります。なお画中に記された文字には「猫の子の小猫を十九あつめつつ 大猫にする画師(えし)のわざくれ」とあります。「わざくれ」とは、いたずらや戯れといった意味。当時の人々にとってもユニークな作品として喜ばれたことでしょう。
大猫の姿は少し不気味でもありますが、猫たち一匹一匹の表情はとても優しげです。芳藤は国芳からユーモアだけでなく、猫へのあたたかい眼差しも受け継いだようです。
入館料
リピーター割引あり(会期中2回目以降にご鑑賞の方は、半券と引換にて100円割引)
一般 | 1000円 |
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大高生 | 700円 |
中学生以下 | 無料 |