江戸ッ娘 – Kawaiiの系譜

溪斎英泉「浮世四十八手 うわきにまよわせる手」
企画展
2015年3月1日(日)~3月26日(木)

3月2・9・16・23日は休館となります。

※展覧会図録は作成いたしません。

はじめに

溪斎英泉「雪中傘提げの娘」

溪斎英泉「雪中傘提げの娘」

原宿を闊歩する、明るく大胆なファッションに身を包んだ若い女性たち。その個性的な装いは日本のポップカルチャーを代表するもののひとつとして海外でも知られ、「kawaii」存在として注目されています。ファッションにこだわりをもって楽しむことは現代人だけの特権かというと、実はそうではないようです。浮世絵に登場する江戸の女性たちを見ていくと、豪華な髪飾りやカラフルで大胆なデザインの着物、こだわりの小物で個性を競い奇抜な化粧にも挑戦する、そんな姿であふれています。人々の派手に装うことへの欲求は大きかったようで、幕府は庶民の贅沢な装いに対する禁令を度々出しているほどです。しかしそうしたなかでも工夫をこらし、遊女はゴージャスに、町娘は愛らしく、武家の姫君ははなやかに、それぞれの個性にあわせてあらゆる立場の女性たちが貪欲にファッションを楽しんだ時代でもあったのです。kawaiiがあふれる原宿で、そのルーツを浮世絵の世界に探る展覧会です。

歌川国貞(三代豊国)「十二月ノ内弥生雛祭」

歌川国貞(三代豊国)「十二月ノ内弥生雛祭」

1.着こなしは明るく元気に

江戸時代、女性は着物をはじめ髪型や化粧、小物使いが年齢や未婚か既婚かで細かな違いがありました。そうしたなかで若い女性は、はなやかな振袖を着て、髪飾りの数が多くまた色も派手にし、にぎやかに装うこともありました。着物や帯の色使いも実にカラフル。多様なデザインを大胆に組み合わせる着こなしからも、女性たちのファッションに対するエネルギーが伝わってきます
歌川国貞(三代豊国)「江戸名所百人美女 霞ヶ関」大名の姫君。花模様の着物も髮飾りも実に豪華。

歌川国貞(三代豊国)「江戸名所百人美女 霞ヶ関」大名の姫君。花模様の着物も髮飾りも実に豪華。

歌川国貞(三代豊国)「今世斗計十二時 未の刻」朝顔柄の日傘がポイント。

歌川国貞(三代豊国)「今世斗計十二時 未の刻」朝顔柄の日傘がポイント。

歌川国貞「松葉屋内代々山 かけを にしき」花魁と見習いの少女の禿(かむろ)たち。着物はお揃いのデザイン。

歌川国貞「松葉屋内代々山 かけを にしき」花魁と見習いの少女の禿(かむろ)たち。着物はお揃いのデザイン。

2.ときには奇抜に大胆に

江戸の女性たちは独創的な着物や奇抜なメイクにも果敢に挑戦します。とくに当時のファッションリーダーでもあった高級遊女たちの装いは豪華で大胆。放射線状に挿された簪や紅を塗り重ねて下唇を緑色に発色させる笹色紅などに見られる独特の美意識は、現代人の目をも驚かせます。
溪斎英泉「浮世四十八手 うわきにまよわせる手」

溪斎英泉「浮世四十八手 うわきにまよわせる手」

溪斎英泉「新吉原年中行事 九月后の月重陽 松葉屋内代々山」着物や帯には立体的な飾りを縫いつけている。

溪斎英泉「新吉原年中行事 九月后の月重陽 松葉屋内代々山」着物や帯には立体的な飾りを縫いつけている。

<見どころの一点>
溪斎英泉「今様美人拾二景 おてんばそう 深川すさき弁財天」

溪斎英泉「今様美人拾二景 おてんばそう 深川すさき弁財天」

溪斎英泉「今様美人拾二景 おてんばそう 深川すさき弁財天」解説

鶴を折る少女。豊かな黒髪に挿されたびらびら簪や両天簪などの多くの髪飾り、髪を結ぶ布の赤色が目を引きます。年配の女性ほど髪飾りの数も少なく用いる布も落ち着いた色のものを使っていましたから、若々しさにあふれた装いと言え十代前半の少女なのでしょう。さらにネズミをデザインした簪を織り交ぜる遊び心もうかがえます。またよく見ると下唇が緑色です。これは遊女から流行が始まったとされる笹色紅と呼ばれる化粧。笹色紅は高級な紅を多く必要とするため、庶民は薄墨を下に塗って使用する紅の量をおさえる裏技を用いたと言われています。題名に「おてんばそう」とあるように描かれた少女は活発な性分なのでしょう。しかしそれだけでなく好奇心も旺盛で流行にも敏感なようです。
Bijinga百花繚乱 浮世絵師vs清方
下記の展覧会期中、鎌倉市鏑木清方記念美術館と入場券相互割引をします。江戸の浮世絵から清方まで、美人画をたっぷりとお楽しみください。
太田記念美術館
⇒鏑木清方記念美術館の半券(相互割引券)提示で100円割引
※下記展覧会期中1枚につき1名1回限り有効。他の割引との併用不可。
一般700円→600円 大高生500→400円 中学生以下は無料
鎌倉市鏑木清方記念美術館
⇒太田記念美術館の半券提示で50円割引
※下記展覧会期中1枚につき1グループ1回限り有効。他の割引との併用不可。
2015年2月27日(金)~ 4月12日(日)
一般200円→150円 小中学生100円→50円
鎌倉市鏑木清方記念美術館へのお問合せ
〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下1-5-25
TEL 0467-23-6405
入館料
一般1000円
大高生700円
中学生以下無料
イベント
学芸員によるスライドトーク

本展の担当学芸員が見どころをご案内します。

日程3月7日(土)・13日(金)・18日(水)
時間14:00~(40分程度)
場所太田記念美術館 視聴覚室(B1)
参加方法申込不要 参加無料(要入場券)
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