芳年と国周―「風俗三十二相」と「見立昼夜廿四時之内」
企画展
2015年2月1日(日)~2月25日(水)
2月2・9・16・23は休館となります。
※展覧会図録は作成いたしません。
はじめに
月岡芳年(1839~1892)と豊原国周(1835~1900)はともに明治時代を代表する浮世絵師です。「風俗三十二相」は明治21年(1888)から出版された芳年の美人画の代表作で、女性たちが見せる多彩な表情をテーマとした作品。国周の「見立昼夜廿四時之内」は「風俗三十二相」と近い明治23年(1890)に出版された美人画で、こちらは色々な身分や職業の女性たちの二十四時間を描いています。明治中期の浮世絵に見られる、美しい色彩で描かれた両シリーズは、江戸時代を懐かしむような昔ながらの女性風俗と、新しい西洋の風俗を描いた図が混在しているという点でも、興味深いシリーズと言えるでしょう。本展では、両作品のほかに、芳年や国周の師匠にあたる歌川国芳や三代歌川豊国(国貞)、両者の門下にあたる水野年方や楊洲周延らの美人画もあわせて展観し、幕末から近代に描かれた浮世絵の女性美の流れを紹介します。1.豊かな表情を見せる女性たち-芳年「風俗三十二相」
32図からなるシリーズ。「◯◯そう」の題名で描かれるのは、江戸時代の浮世絵には見られない、豊かな表情を見せる女性たち。「三十二相」とは仏が備える優れた身体的特徴を数えた仏教用語で、これを女性になぞらえた美人画は江戸時代から描かれてきましたが、芳年の作品には、伝統的な美人画表現にとらわれない近代的な視点を感じ取ることができます。2.さまざまな女性たちの24時間
-国周「見立昼夜廿四時之内」
24図からなるシリーズ。「午後◯時」「午前◯時」など、二十四時間の各時間が題名となっており、身分や職業の異なる女性たちの行動を描いています。明治中期の錦絵らしい、赤を貴重とした色鮮やかな色彩も印象的な作品です。
3.幕末から近代への美人画の流れ
幕末に活躍した人気絵師である歌川国芳と三代歌川豊国(国貞)。芳年と国周は両者の弟子にあたります。ここでは芳年門下の水野年方、国周門下の楊洲周延らの作品も展観し、幕末から近代への美人画の流れを紹介します。<見どころの一点>
月岡芳年「風俗三十二相 うるささう 寛政年間処女之風俗
画面に描かれるのは、寛政年間(1789~1801)頃の十代前半らしき少女です。燈籠鬢(とうろうびん)や島田髷といったこの時代の女性らしい髪型に、びらびら簪(かんざし)や赤い布といった、若者らしい飾りを身につけています。少女が覆いかぶさるように可愛がるのは、白い猫。猫は少女とお揃いの鹿子布を首につけており、少女のお気に入りのペットなのでしょう。
本図の題名には「うるささう」とあります。少女に可愛がられる画面の猫は、どこか迷惑そうな表情をしているようにも見え、「うるささう」なのは猫の気持ちなのかも知れません。
Bijinga百花繚乱 浮世絵師vs清方
下記の展覧会期中、鎌倉市鏑木清方記念美術館と入場券相互割引をします。江戸の浮世絵から清方まで、美人画をたっぷりとお楽しみください。太田記念美術館
⇒鏑木清方記念美術館の半券(相互割引券)提示で100円割引※下記展覧会期中1枚につき1名1回限り有効。他の割引との併用不可。
- 《芳年と国周 -「風俗三十二相」と「見立昼夜廿四時之内」》 2015年2月1日(日)~2月25日(水)
- 《江戸ッ娘 -Kawaiiの系譜》 2015年3月1日(日)~3月26日(木)
鎌倉市鏑木清方記念美術館
⇒太田記念美術館の半券提示で50円割引※下記展覧会期中1枚につき1グループ1回限り有効。他の割引との併用不可。
- 《鏑木清方の肖像画と美人画》 2015年1月23日(金)~ 2月22日(日)
- 《麗しき女性たち ―『文藝倶樂部』『新小説』を中心に―》2015年2月27日(金)~ 4月12日(日)
鎌倉市鏑木清方記念美術館へのお問合せ
〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下1-5-25TEL 0467-23-6405
入館料
一般 | 700円 |
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大高生 | 500円 |
中学生以下 | 無料 |
イベント
学芸員によるスライドトーク
本展の担当学芸員が見どころをご案内します。
日程 | 2月4日(水)・11日(水・祝)・19日(木) |
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時間 | 14:00~(40分程度) |
場所 | 太田記念美術館 視聴覚室(B1) |
参加方法 | 申込不要 参加無料(要入場券) |